104日記

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日大アメフト部選手がやったことは悪くない 記者会見を見て

壊れる大学―ドキュメント・日本大学国際関係学部

Twitterやテレビのコメンテーターの反応や発言を見ると、

「大学生なのに立派だ」とたたえる一方で、

彼のやったことはよくなかったが…」という前置きが入る。

もちろん、被害者を慮って発言していると思うのだが。

でもあえて言いたい

日大アメフト選手(以下、N選手)はわるくない。

そもそもぼくらにそのようなことを言う資格はあるのか。

N選手が加害者として被害届が提出されるようだが彼自身「仕方がないこと」と受け入れている。

しかし彼も立派な被害者である。少なくとも私はN選手を前にし直接「あなたのやったことは悪かったけど」なんて前置きは入れられない。

もちろん、負傷した選手は完全な被害者。どんな事情があるにせよ、N選手を簡単に許せるはずはない。だからといって第三者の僕たちが彼に善悪のモノサシを当てるのには違和感がある。

今回の加害者は、アメフト部指導陣とそれをかばった大学なのは明らか。本来大学が守るべきは学生のN選手であるべき。

(企業謝罪会見では当事者が出ることはない。責任者が説明する。今回謝罪会見をすべきだったのは大学側)

N選手を責める権利は、被害者とその関係者にしかない。その上でN選手がやったことは、正当防衛であったと言いたい。

日本社会のブラックぶりが露呈した

今回はいじめでありパワハラであり、もっと言えばマインドコントロールに見えた。

大学の運動部では就職先の世話を部活を通じておこわなれる場合も多いと聞く。N選手からすれば、ここで今回の脅しのような「命令」を断れば、選手生命だけでなくその後の未来までも奪われると感じたに違いない。

責任感が強そうなN選手はこれまで応援してくれた家族や部活の仲間のために今回の行動に至ったようにすら想像できる。

日大アメフト部指導陣は、今回の件がある一週間前からN選手を

  • 練習に参加させない
  • 坊主強要(パワハラ)
  • 日本代表選手権の辞退を命じる

など精神的に追い詰めていた。

ちなみにN選手は去年優勝した際にスタメンで出ており、いわば優勝の立役者の1人。

今回のN選手の行動は、自分を守る「正当防衛」みえた。その矛先が、無辜の選手に向かったのは大変痛ましいが、彼にはそこしか逃げ道はなかった。

ブラック企業の社員やDV被害者が問題の渦中にいるとき、当人は正常な判断ができなくなる。

N選手は、やってしまった理由に「自らの弱さ」と答えた。でも、どんな情況においても「意志力」を働かせて正常な判断ができるなら、この世に追い詰められて自殺する人はゼロのはず。人は自分でも想像できないような異常な精神状態に落ちるときがある。

彼の行動は不合理。たとえ監督の指示に従ってもその後の選手生命が失われることは、冷静な時であればわかっただろう。だから試合が終わってベンチに戻り、我に返った瞬間、事の重大性に気づいたN選手は号泣したのではないか。それは自責の念と自らの選手生命が終わったことを悟ったのかもしれない。

そして「もうアメフトはしない」という決断をするまでに至っている。

いつかまた彼にアメフトと向き合える機会が訪れることを願いたい。本来であれば彼のような他人の痛みを想像でき責任感のある人物にこそスポーツの指導者についてほしい。

このブラック体質は、高校のように部活を統括する機関がないことから多くの大学の運動部で程度の差はあれ起きているかもしれない。

今回の記者の質問もみると、むしろ「日本全体がブラック化してるのか」と半ば絶望感さえ抱いた。N選手が大学生であることに考慮しない胸が痛くなるような質問が続いた。ひょっとしたら彼らも「使える発言を取ってこい」と強いプレッシャーをかけられ、正常な思考が働かなかったのかもしれない。

その分泥沼に咲く蓮のようにN選手の精悍さが際立った。

何かをやってしまったとき、その後にどう振る舞うかが人として大切であるはず。逃げ回らず全てをさらけ出し、真摯に答える彼を尊敬する。

仮にもし彼に罪があるなら(私はないと思うが)もう十分償った。これからさきはN選手自身の中で長いあいだ付き合い続けていくこと。

同年代の人が普通は経験しないことを今回彼は経験した。今は大変だと思うが日本代表に選ばれるような選手であれば今回のことも乗り越え、どんなフィールドに行っても大きく飛躍するはず。

今後の両選手の明るい未来を願いたい。